2008年08月23日

診療の合間に 血圧問題

 糖尿病の患者さんに、インスリン注射での、単位数の問題や、自己血糖測定の回数を説明しているうちに、かなりのエネルギーを使って、「ということで、では次回」という感じで切り上げようとしたところ、「先生、まだ血圧測ってもらってないですけど」と1本取られる。
 私は、原則として、診療した患者さんの血圧は自分で測るようにしている。若くて、BMI 18前後の痩せた女性が風邪で受診された時などは、測らないが。
最近では、受付にプリンター付きの自動血圧計を設置して、プリントアウトされたものを持ってきてもらうというスタイルもあるようだが。
 自分で測っている理由は様々だが、患者―医師 のコミュニケーションツールと思うし、この方の“真の血圧?”を察知したいという考えもある。
“真の血圧?”というのは、測るたびに違う血圧という前段階がある。
 以前、患者さんと対話していて、「そうだったのか!」と気づいたのだが、血圧にナイーブな一般人には、血圧を連続して測定すると、いつも同じ数値を示すと考えている方がいるのです。白衣姿の医師や看護師が水銀血圧計で、測るとさぞかし正しい数値が開示され、2回目、3回目も同じだろうと考えておられるのです。
 私の血圧についての、患者さんへの情報提供(患者教育)は、実は血圧は測るたびに違うということを、患者さん自身の、血圧測定を通して知っていただくことから始まる。
 実は、杉内科クリニックの待合室にもプリンター付き自動血圧計が設置してあるが、その本意は、私の血圧測定を省略するためではなく、測るたびに異なる血圧値を確認してもらうことなのです。
この段階に行くと、当然患者さんから、「私の真の血圧は?」という質問が出てくる。その疑問が生じるのを待っているのです。
そこから、高血圧は何故悪いのか、血圧を下げるとどんな得があるのか、など様々な世界が開けてきます。
 血圧にナイーブな一般人から、血圧についてすれっからしのしたたかな高血圧患者に、このプロセスをお手伝いするのが、高血圧治療だと思うのですが。
とカッコいいことを書きましたが、単に今は、暇だから、せっせと自分で、血圧を測っているのかもしれません。



Posted by 杉謙一 at 05:42│Comments(0)
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